お客さんの「探し方」が変わってきています
「神奈川 キャンプ場 犬連れ」と検索すると、最近はリンクの一覧より先に、Googleが文章で答えをまとめて表示することが増えました。「AI による概要」と呼ばれる機能です。ChatGPTのようなAIに、直接「おすすめのキャンプ場は?」と聞く人もいます。
このとき、お客さんはAIの答えを読んで、ある程度の見当をつけてしまいます。アメリカの調査機関 Pew Research Center が、900人の実際のブラウザ操作を調べた結果があります(2025年3月)。
- AIの要約が出たとき、検索結果のリンクがクリックされたのは 8%
- AIの要約が出なかったときは 15%
- 要約の中のリンクがクリックされたのは、わずか 1%
(出典:Pew Research Center, 2025年7月)
アメリカのデータではありますが、「サイトに来てもらう前に、AIの説明で比べられている」という流れは、日本でも無関係ではありません。だからこそ、AIが施設をどう説明するかが大切になってきています。
なお、この記事ではキャンプ場を例にしていますが、旅館やコテージなどの宿泊施設でも、考え方は同じです。
AIは、何を見て施設を紹介しているのか
GoogleのAIは、ひとつの質問を受けると、関連する検索をいくつも行い、さまざまな情報源から答えを組み立てると説明されています(Google 検索セントラル)。
つまり、材料になるのは公式サイトだけではありません。先ほどのPewの調査でも、AIの要約でよく引用されていたのは、Wikipedia・YouTube・Reddit(アメリカの掲示板)でした。公式サイトの情報と並んで、外の人が書いた情報も、答えの材料として使われているということです。
キャンプ場でいえば、予約サイト、口コミ、個人のブログ、SNSの投稿などがそれにあたります。公式サイトは、その中で施設が自分の言葉で発信できる、数少ない場所です。
更新が止まっていると、何が起きやすいか
新しい情報のほうが、引用されやすい傾向がある
SEOツールの会社 Ahrefs が、AIに引用された約1,700万件のページを調べた調査があります。AIに引用されたページは、通常の検索結果に並ぶページより、平均で 約26%新しい ものでした。特にChatGPTは、新しいページを引用する傾向が強かったそうです。一方、GoogleのAIによる概要は、通常の検索結果に近い傾向でした(出典:Ahrefs, 2025年7月)。
すべてのAIで同じではありません。ただ、情報が新しいことは、少なくとも不利にはならないと言えそうです。
公式サイトと他の情報が食い違う
Googleは、AI機能への対応として、ビジネスプロフィール(Googleマップに出る施設情報)を最新に保つことを案内しています(Google 検索セントラル)。
料金や営業期間を変えたのに、公式サイトやGoogleマップが昔のままだと、AIの材料の中に古い情報と新しい情報が混ざってしまいます。予約サイトだけ新しくして、ほかを直し忘れていないかは、一度確かめておきたいところです。
AI時代に、公式サイトに書いておきたいこと
「オーナーしか知らないこと」を書く
Googleは、AIを使った検索でうまく表示されるために、ありきたりではない、独自の内容に力を入れるようすすめています(Google 検索セントラル ブログ, 2025年5月)。
キャンプ場にとっての独自の内容とは、現地にいる人にしか書けない情報です。
- 区画ごとの広さや、地面の状態(芝・砂利・土)
- 夜の静かさ、星の見え方
- 虫が多い時期、少ない時期
- 冬の冷え込みと、あると安心な装備
- 川や遊具など、子どもが遊べる場所
「自然豊かな環境で、ゆったりとした時間を」のような文は、どこの施設にも当てはまります。それより、具体的な一文のほうが、施設ならではの情報になります。
お客さんが本当に聞きたいことに、答えておく
同じブログ記事でGoogleは、AIを使った検索では、長くて具体的な質問や、追加の質問がされると紹介しています。
「犬連れで、静かに過ごせて、トイレがきれいなキャンプ場」のように、いくつもの条件をまとめて聞かれるイメージです。ペットのルール、トイレや炊事場の様子、チェックインの時間、雨の日の過ごし方など、問い合わせでよく聞かれることは、サイトにも書いておくと安心です。
大事な情報は、文字で書く
料金表や案内を、画像やPDFだけで載せていませんか?Googleは、重要な内容は文字で載せるように案内しています(Google 検索セントラル)。料金・営業期間・予約方法は、画像だけにせず、文章でも書いておきましょう。
AI検索対策は、まず「土台」を整えることから
最近は「AI検索対策」という言葉をよく見かけるようになりました。何か特別な仕掛けが必要に思えますが、Googleは、AIによる概要に表示されるために、専用のファイルや特別な設定を追加する必要はないと説明しています(Google 検索セントラル)。
裏を返せば、AI検索対策の土台は、ホームページの基本をきちんと整えることにあります。
- 公式サイトに、正しく新しい情報があること
- 施設ならではの具体的な情報が、文字で書かれていること
- Googleマップの情報も、同じように最新であること
ただし、AIのサービスごとに確認しておきたいこともあります。
たとえばChatGPTの検索では、OpenAIの検索用ロボット「OAI-SearchBot」がサイトを読めることが、要約や抜粋が表示される条件になっています。サイトの設定ファイル(robots.txt)でこのロボットを拒否していると、ChatGPTの検索結果に施設の説明が出にくくなります(出典:OpenAI 公式ヘルプ)。サイトを配信するサービスの中には、AIのロボットを初期設定で止めるものもあります。たとえば大手のCloudflareは、2025年7月から、新しく登録したサイトではAIのロボットを止める設定を初期状態にしました(出典:CNBC, 2025年7月)。自分で拒否した覚えがなくても、一度確かめておくと安心です。
また、MicrosoftのCopilotはBingの検索データを使っています。Bingの管理ツール(Bing Webmaster Tools)では、自分のサイトがCopilotなどのAIの答えに何回引用されたかを確認できる機能が、試験的に始まっています(出典:Microsoft Bing ブログ, 2026年2月)。
まずはホームページの土台を整え、そのうえでAIごとの確認をしていく。これが、AI検索対策の基本の順番です。
AIの時代になって、ホームページの役割はなくなるどころか、施設の正しい姿をAIに伝える、いちばんの情報源になっていきます。
さいごに:まずは、AIに自分の施設のことを聞いてみてください
AIの時代になって、ホームページの役割は小さくなったように見えるかもしれません。けれど、ここまで見てきたように、AIは公式サイトをはじめ、いろいろな情報を集めて施設を紹介しています。その中で、施設が自分の言葉で正しい情報を届けられる場所が、公式サイトです。更新することは、お客さんに向けた発信であると同時に、AIに施設の今の姿を伝えることでもあります。
何から始めればいいか迷ったら、ChatGPTやGoogleで、お客さんになったつもりで質問してみてください。「〇〇キャンプ場の料金は?」「〇〇キャンプ場は犬連れでも泊まれる?」。返ってきた答えが今の施設と合っているか、いちばん伝えたい魅力が入っているかを見るだけでも、ホームページで直したいところが見えてきます。
AIが施設のことを正しく答えるには、まず、その情報がどこかに正しく書かれている必要があります。現地で過ごしているオーナーさんだからこそ書ける一文を、ぜひホームページに残していってください。
